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LaTeX (TikZ)

foil2.png

以前から、説明のために LaTeX の数式に矢印などを加えたかったのだが、先日ようやくやってみた(上の数式)。

上の数式のように式を分配法則で展開する組合せを表す線(または矢印)を LaTeX で描く方法をウエブで検索すると、How to draw arrows between parts of an equation to show the Math Distributive Property (Multiplication)? が見つかって、ただちに解決したかに見えた。pstricks は遠慮して、TikZ パッケージを使うことにした。足りないパッケージをせっせとインストールして上のページにあるサンプルを試してみたが、線がずれてうまくいかない。別の方法を検索して試したが今度はエラーが出てしまう。これだけで結構時間を使ったので嫌になってきたが、LaTeX のファイルのバージョンがバラバラで整合していないような気がしたので、何でも入っていそうな TeX Live 2012 をインストールしつつ、就寝。

TeX Live 2012 は欧文 LaTeX がデフォルトであるため、pdf ファイルを作る際に pdflatex を使えばうまくいくが、dvipdfmx ではうまくいかない(線がずれる)ことがわかった。 dvipdfmx は TikZ に完全に対応していないことがうまくいかない原因だった。しかし、dvipdfmx は日本語が使えるが、pdflatex は日本語が使えない(使う方法がない訳ではないので、標準的な方法では使えないというのが正しいようだが)。pdflatex を使えば How to draw arrows between parts of an equation to show the Math Distributive Property (Multiplication)? にあるサンプルや上のような数式を書くことはできるようになったが、和文との併用についてはこれまでかと思いきや、TikZ は dvipdfmx をどこまでサポートするか? (2)にある方法とそこで公開されているスタイルファイルpxpgfmark.sty を使うと、pLaTeX (日本語 LaTeX)と dvipdfmx を使って上の数式を表示することができることがわかった。TeX Live 2012 で TeXworks の pLaTeX と日本語対応の設定をするのにもかなり手間取ってしまったが、TeX Wiki にある方法などを見て何とか解決した。

ウエブの情報がなければできなかったので、LaTeX やそのパッケージ、関連ソフトウエアを作ったり、情報を公開して下さっている方々に深く感謝する。(情報があってもかなり時間がかかってしまったが。しかも上の数式は線の位置がやや不満足だが、TikZ をよくわかっていないのですぐに解決できない。)

研究室の4年生の卒業研究の要旨や発表のスライドは長らく Microsoft Word と PowerPoint を使ってもらっていた。実は当初 LaTeX (スライドは slide 環境)を使っていたのだが、ある年 LaTeX を教えるタイミングを逸している間に学生たちが Word で作業を始めてしまい、その年からはずっと学生たちに使用経験がある Word と PowerPoint になっていたのである(岡山理科大学に勤務していた頃の話)。(大学院生には一貫して LaTeX を使ってもらっていたし、自分自身は LaTeX を使うのだが。)Word や PowerPoint は多数の数式の入力が容易とはいえず、数式も美しくないと感じることがしばしばあるため、今年度の4年生には LaTeX を使ってもらった。図版は Geogebra を使って eps ファイルを作成し、卒業研究発表のスライドは LaTeX Beamer を使った。関西学院大学理工学部数理科学科の学生は1年のコンピュータ演習で LaTeX を使ったことがあるので、サンプルと参考書(奥村晴彦『[改訂第5版] LaTeX2e 美文書作成入門』)を渡しておけば、Geogebra の図の取り込み方を教えれば学生にとってあまり困難はないようだ。来年度からも研究室の4年生には LaTeX (や Geogebra)を使ってもらうつもりだ。

もう1つ気になっているのは、LyX という対話的な LaTeX のフロントエンドである。使い勝手がよければ、学生たちに使ってもらおうかと思う。こういうものにはずっと関心を持っていたつもりだが、近年情報収集を怠っていたせいか、記憶力が衰えたのか、LyX の存在には最近初めて気づいたように思う。

Macintosh を数年間使った後、Windows 95 からずっと Microsoft Windows を使っているが、他の OS、Mac OS や Linux に関心を持っている。卒業研究や修士論文が終わって、少し一息ついたのでいくつかの Linux ディストリビューションを試したりしている。Knoppix Math から継続している数学ソフトウェアを収録した Linux ディストリビューションの最新版 MathLibre Debian 2013 もリリースされて間もない。TeX Live 2012 により、様々な OS に今までより容易に日本語 LaTeX をインストールして使えるようになっているようで、何事もどんどんよくなっている(というか、よくする努力を続けている人たちがいる)ことに驚嘆する。

もっと他にもやるべきことがあると思いつつ、コンピューターやソフトウエアのことに時間を使っている。こういうときに仕入れておいた知識のいくつかは、自分自身や学生たちの役に立つだろうから、まったく非生産的な遊びという訳でもない。
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プロフィール

示野信一

Author:示野信一
関西学院大学理工学部数理科学科
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