fc2ブログ

ガウスが切り開いた道

Gindikin.jpg

3次方程式の解法と複素数の誕生について手元にある書籍を眺めていて、ギンディキンの『ガウスが切り開いた道』を手にとった。この本は歴史を巡る人物模様がおもしろく、第一級の数学者ギンディキンによるものだから当然数学的にもきちんと書かれている。後半は、19世紀の数学者ガウスについて書かれている。ガウスといえば、高木貞二『近世数学史談』岩波文庫を思い出すが、正17角形の作図など重なる話題について読み比べてみるのもおもしろいだろう。

上の本はシュプリンガー社が出版した和書である。理工系の書籍、雑誌の大手Springer社の関連会社、シュプリンガー・フェアラーク東京は欧文出版の代理店イースタン・ブック・サーヴィスと合併して2006年にシュプリンガー・ジャパンとなった。シュプリンガーは翻訳を中心に理工系分野の和書を多数出版してきたが、2012年1月から和書の刊行を丸善出版に移譲するとのことだ。(シュプリンガージャパンのページで情報を確認できなかったが、名古屋大学生協のページでは和書在庫引き上げのお知らせがある。)

私自身、シュプリンガー・ジャパンから何冊かの翻訳と自身の著書を出版している。翻訳や執筆を通して、文章の書き方や本の作り方について、貴重な経験をすることができた。シュプリンガーの編集者からも多くのことを学んだ。丸善からの出版が決まっているハーディ/ライト著『数論入門』についてシュプリンガー・ジャパンから同意書の提出依頼を受けた。シュプリンガーの和書は、自分が関わった本以外にも何冊か思い浮かぶ。丸善から出版されないものは絶版になってしまうのかと思うと寂しい気持ちになるが、販売部数が非常に限られた専門書の出版事業のことを思えば、これも時代の流れかと思う。

何冊かの本をオンライン書店で検索してみると、丸善への移譲の準備として重版を控えて在庫を減らしていたようで、全般に入手しにくくなっていることに気付いた。(上の本は複数のサイトで在庫があったが、丸善からの再出版リストには載っていない。)
スポンサーサイト



プロフィール

示野信一

Author:示野信一
関西学院大学理工学部数理科学科
home

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR