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2018

18年賀状m

2017年12月はチュニジアで開催された研究集会 Geometric and Harmonic Analysis on Homogeneous Spaces and Applications に参加・講演してきた。年次進行は年度単位なので、2017年度3月まで年度末進行で色々忙しいが、2018年初にあたり気持ちを新たに取り組んでいきたい。
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LaTeX (TikZ)

foil2.png

以前から、説明のために LaTeX の数式に矢印などを加えたかったのだが、先日ようやくやってみた(上の数式)。

上の数式のように式を分配法則で展開する組合せを表す線(または矢印)を LaTeX で描く方法をウエブで検索すると、How to draw arrows between parts of an equation to show the Math Distributive Property (Multiplication)? が見つかって、ただちに解決したかに見えた。pstricks は遠慮して、TikZ パッケージを使うことにした。足りないパッケージをせっせとインストールして上のページにあるサンプルを試してみたが、線がずれてうまくいかない。別の方法を検索して試したが今度はエラーが出てしまう。これだけで結構時間を使ったので嫌になってきたが、LaTeX のファイルのバージョンがバラバラで整合していないような気がしたので、何でも入っていそうな TeX Live 2012 をインストールしつつ、就寝。

TeX Live 2012 は欧文 LaTeX がデフォルトであるため、pdf ファイルを作る際に pdflatex を使えばうまくいくが、dvipdfmx ではうまくいかない(線がずれる)ことがわかった。 dvipdfmx は TikZ に完全に対応していないことがうまくいかない原因だった。しかし、dvipdfmx は日本語が使えるが、pdflatex は日本語が使えない(使う方法がない訳ではないので、標準的な方法では使えないというのが正しいようだが)。pdflatex を使えば How to draw arrows between parts of an equation to show the Math Distributive Property (Multiplication)? にあるサンプルや上のような数式を書くことはできるようになったが、和文との併用についてはこれまでかと思いきや、TikZ は dvipdfmx をどこまでサポートするか? (2)にある方法とそこで公開されているスタイルファイルpxpgfmark.sty を使うと、pLaTeX (日本語 LaTeX)と dvipdfmx を使って上の数式を表示することができることがわかった。TeX Live 2012 で TeXworks の pLaTeX と日本語対応の設定をするのにもかなり手間取ってしまったが、TeX Wiki にある方法などを見て何とか解決した。

ウエブの情報がなければできなかったので、LaTeX やそのパッケージ、関連ソフトウエアを作ったり、情報を公開して下さっている方々に深く感謝する。(情報があってもかなり時間がかかってしまったが。しかも上の数式は線の位置がやや不満足だが、TikZ をよくわかっていないのですぐに解決できない。)

研究室の4年生の卒業研究の要旨や発表のスライドは長らく Microsoft Word と PowerPoint を使ってもらっていた。実は当初 LaTeX (スライドは slide 環境)を使っていたのだが、ある年 LaTeX を教えるタイミングを逸している間に学生たちが Word で作業を始めてしまい、その年からはずっと学生たちに使用経験がある Word と PowerPoint になっていたのである(岡山理科大学に勤務していた頃の話)。(大学院生には一貫して LaTeX を使ってもらっていたし、自分自身は LaTeX を使うのだが。)Word や PowerPoint は多数の数式の入力が容易とはいえず、数式も美しくないと感じることがしばしばあるため、今年度の4年生には LaTeX を使ってもらった。図版は Geogebra を使って eps ファイルを作成し、卒業研究発表のスライドは LaTeX Beamer を使った。関西学院大学理工学部数理科学科の学生は1年のコンピュータ演習で LaTeX を使ったことがあるので、サンプルと参考書(奥村晴彦『[改訂第5版] LaTeX2e 美文書作成入門』)を渡しておけば、Geogebra の図の取り込み方を教えれば学生にとってあまり困難はないようだ。来年度からも研究室の4年生には LaTeX (や Geogebra)を使ってもらうつもりだ。

もう1つ気になっているのは、LyX という対話的な LaTeX のフロントエンドである。使い勝手がよければ、学生たちに使ってもらおうかと思う。こういうものにはずっと関心を持っていたつもりだが、近年情報収集を怠っていたせいか、記憶力が衰えたのか、LyX の存在には最近初めて気づいたように思う。

Macintosh を数年間使った後、Windows 95 からずっと Microsoft Windows を使っているが、他の OS、Mac OS や Linux に関心を持っている。卒業研究や修士論文が終わって、少し一息ついたのでいくつかの Linux ディストリビューションを試したりしている。Knoppix Math から継続している数学ソフトウェアを収録した Linux ディストリビューションの最新版 MathLibre Debian 2013 もリリースされて間もない。TeX Live 2012 により、様々な OS に今までより容易に日本語 LaTeX をインストールして使えるようになっているようで、何事もどんどんよくなっている(というか、よくする努力を続けている人たちがいる)ことに驚嘆する。

もっと他にもやるべきことがあると思いつつ、コンピューターやソフトウエアのことに時間を使っている。こういうときに仕入れておいた知識のいくつかは、自分自身や学生たちの役に立つだろうから、まったく非生産的な遊びという訳でもない。

2013

2013年賀状bm

昨年に引き続き私の年賀状(郵便用)の画像。人物(私)の写真以外は私が撮影したものである。蛇の写真は KSC (関西学院大学神戸三田キャンパス)内で撮影したもの(進路をカメラで妨げられた蛇が警戒している)。

本日から冬季休業明けの授業が始まった。秋学期の授業の最終週、来週から定期試験、修士論文提出締切間際、卒業研究発表の要旨締切も迫り、正に年度末もっとも忙しい時期にさしかかっている。学生諸君も定期試験直前であり、数理科学科の3年生は研究室配属の希望調査の締切間際とあわただしい時期だ。風邪などで体調を崩さないように乗り切りたい。

雑誌 『数理科学』 1月号の特集:「表現論の世界」に「対称空間と表現論」 という記事を書かせてもらった。「対称空間」という幾何学的な対象(図形)の上の関数の解析学(微分積分)と図形の対称性を表す「群」の「表現」という代数的な概念の関わりという私の研究分野について、理工系の大学生を読者に想定して書いた。私の研究室を希望する学生には読んで欲しいものだ。

方程式の虚数解の図示



江藤邦彦『リンドラ姫の恋と数学物語 2次方程式』という本を見ていたら、2次方程式の複素数解を図示する話が載っていた。複素数の本(『複素数とはなにか』講談社ブルーバックス)を書いたつながりで、川中先生から平成23年度に祥雲館高等学校のSSHの研究指導で方程式の虚数解の図示をテーマにしてゼミ論文を書いた生徒がいることを先日伺って論文を見せていただいたところでもあり、私も Maple を使って図示してみたのが冒頭の図である。

xy 平面は z = x + i y により複素数平面とみなし、縦軸には z2 + 1 の絶対値をプロットした曲面を描いた。虚部をゼロとした曲線 x2+ 1 を赤線で表している。この2次曲線が x 軸と交わらないことは、2次方程式 x2+ 1 = 0 が実数解を持たないことと対応している。一方、実部をゼロとした曲線 - y2+1 を青線で表している。y = ±1 でゼロになる(緑の点)ことは,方程式 z2 + 1 = 0 が2つの解 ± i を持つことに対応している。

f (z) = z2 + 1 は複素数 z を複素数 f (z) に対応させる複素関数であるが、方程式 f (z) = 0 の解を視覚的に理解するために、実数の組 (x, y) に対して実数 |(x + i y)2 + 1| を対応させる2変数関数のグラフ(曲面)と x 方向、y 方向の2つの断面を描いたのである。

ウエブ上の数式

新学期の授業開始が目前に迫っており、授業やゼミなど特定少数向けの活動の立ち上げで忙しくなれば、ブログの更新などおぼつかなくなるだろうと思いつつ、ウエブ(ブログ)の話題。

数式を含むウエブページを新たに書くことは長らくやっていないが、思い立って調べてみると知らなかった方法が(いくつか)あるようだ。MathJax を使うと、LaTeX 形式のソース入力により簡単に数式が表示できる。黒木玄さんがMathJaxの使い方で説明してくれている通りにやったら簡単にできた。

初めての例として、オイラーの公式
\[e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta\]
とガウス積分
\[
\int_0^\infty e^{-x^2}dx=\frac{\sqrt{\pi}}{2}
\]
を打ってみた。このブログで数式を使いたいという願望は持っていなかったのだが、簡単にできるとわかって可能性が広がった。
プロフィール

示野信一

Author:示野信一
関西学院大学理工学部数理科学科
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