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Microsoft Office

関西学院大学理工学部数理科学科では来週金曜日に卒業研究発表会を控えて、卒業研究も最終段階である。卒業研究要旨集の原稿と卒業研究発表のスライドの2つが要だが、それらをどう作成するかは長年の問題であった。要旨については以前は LaTeX を使っていたし、その場合スライドは LaTeX の slide か近年では beamer を使っていた。一方、LaTeX を教える余裕がない年は Microsoft Word と Powerpoint を使っていた。

今年度の卒業研究の要旨は Microsoft Word を用いて作成し、発表は Microsoft Powerpoint を使って行う。現在 Office のバージョンは 2016、その前は 2013、ところが、研究室の PC を見てみると、Office のバージョンは 2010、Office が入っていない PC もある状態だった。発表本番でおかしなことになると困るので、Office 2010 のパワーポイントで作成したファイルを Office 2013 で開いてみたが、特段問題ないようだ。

Microsoft Word は使いにくい、数式が汚いという印象で敬遠してきたが、よくなっているという話もある。今年度の学生たちには Office 2010 ではなく Office 2013 を使ってもらうべきだっだかと反省している。バージョンアップするとどの程度使い勝手がよくなるか把握していないのだが、大学で Microsoft のライセンスを持っているので、私自身が研究室の数台のパソコンに一々インストールする手間を惜しまなければ、バージョンアップしない理由はない。

LaTeX を中途半端に教えると無茶苦茶なソースでエラー出まくりでろくなことがないので、一時 LyX を使うことも考えたが、Microsoft のソフトウエアのライセンスを大学で取得しており、社会で Microsoft Office が広く普及している、数式入力・表示も改善されている(らしい)現状では、卒業研究では、Microsoft Office を使うのが無難という、以前と違う考えに落ち着きつつある。論文の分量や研究期間が卒業研究より長期にわたる修士論文で Microsoft Office と LaTeX のどちらが優位なツールかという評価はこれからまた考えてみたい。
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2012年度春学期のゼミ

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今年度の4年生のゼミでは、複素数平面の幾何、双曲幾何、球面幾何などをやろうと思っていたのだが、本を探している過程で知った、梅沢敏夫・後藤達生『複素数と幾何学』(培風館)を読むことになった。候補に挙げた本の中では一番薄くて読みやすそうな点に学生諸君は惹かれたのだろう。どこまで読めるかわからないが、春学期中はこの本を輪講形式(メンバーの学生が交代で発表する形式)で読み進める。

もう1冊、ダンハム『数学の知性―天才と定理でたどる数学史』(現代数学社)から1人1章割り当てて、内容の理解、パソコンによる要旨の作成、パソコンを使ったプレゼンテーション、と春学期のうちに卒業研究発表会でやる作業の予行演習をやっておくことを狙う。ダンハムは、(数式も結構出てくる少々高度な)すぐれた数学啓蒙書の書き手であり、『オイラー入門』などその他の著作も邦訳されている。

要旨とプレゼンは、ほとんど使っていない私が例年の学生諸君の様子を見てきた印象では、Microsoft Office の数式エディターがかなり使いにくそうなので、LaTeX、あるいは LibreOffice (OpenOffice)、はたまたウエブで見て数式が美しかった Google Docs を試してもらおうかと思っている。

数理科学科の第1期生の卒業研究、新学期のスタート時であり、やや欲張った計画だが、さてどうなることか。

ラドン変換

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今年度は修士課程の大学院生が1人私の研究室に配属された。相談の上、ラドン変換を勉強することにして、最初 Helgason の Birkhauser の本を少し読んだ後、最近になってより易しいと思われる S.R. Deans, ''The Radon transform and some of its applications", Dover, 2007 の第2章から読み始めた。(第1章はラドン変換の応用について概説されている。) 英語の数学の本を読むのは、学生にとって大学院に進学して初めての経験であるため、一文一文の意味がとれず大変苦労している。

関西学院大学では英語教育を重視しており、学生は大学院に入学後も、合格認定されていない英語の院試の追試験を受けなければいけない。ラドン変換については日本語の文献が非常に乏しいという止むを得ない事情もあり、英語の勉強も兼ねて、粘り強く取り組んで欲しいと思う。私も協力して読み進んでいきたい。

テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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示野信一

Author:示野信一
関西学院大学理工学部数理科学科
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