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テイラーの定理

taylor1.jpg

関西学院大学理工学部数理科学科1年生対象の微分積分の授業で今日からテイラーの定理に入った。授業の進行の関係で例年より取り掛かるのが遅い。テイラーの定理は高等学校の微積分では習わない大学の微積分の重要な話題であるが、いつも学生たちにうまく理解してもらうことができず苦心している。

上のグラフはMapleで描いた指数関数 ex のグラフ(赤)と 0 における2次近似式 1+x+x2/2 のグラフ(青)である。従来もこのようなグラフをウエブページで公開したり (たとえば、指数関数のテイラー展開(デモ))、配布資料を用意したり、グラフが書いてある教科書を選んだりして提示してきたが、今日は今までで初めて教室にパソコンを持ち込んでプロジェクターを用いて指数関数や三角関数の近似多項式のグラフを次数を変えて示した。数式処理そのものを対象にした授業や数学の授業の時間内にコンピューターの実習を行うことは今までにもあったが、学生がパソコンを操作する実習の中以外で、教員側でパソコンを操作してグラフを見せたのは私の教員生活の中でこれが初めてのことである。スクリーンや天井に設置されたプロジェクター、ケーブルなどパソコン以外の設備は教室に備え付けられており、私自身 Maple のような数学ソフトウエアには慣れており、実行に何の困難もないはずのことを、やろうと思いつつ、適切なタイミングで行うことなく今日まで怠ってきたのは、億劫がっていた・決断力がなくぐずぐずしていたからである。学生には常々積極性を要求しているのに情けない話だ。これでたちまち素晴らしい授業になる訳ではないが、少しでもよいと思える方向に変われて嬉しい。
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x^2 sin(1/x) のグラフ

sin4.png

上の図は y = x2 sin(1/x) のグラフである.(x sin(1/x) のグラフと同様にして Maxima で描いた.Maple などのソフトウエアでも描くことができる.) x = 0 における値を 0 と定めると,この関数は x = 0 で連続であり,しかも微分可能である. x sin(1/x) の方は x = 0 における値を 0 と定めると,x = 0 で連続だが,微分可能ではない.

これらのことを微分可能性の定義に基づいて確認するのは微分積分の演習問題である.2つのグラフを見比べると微分可能性との関係がわかるだろう.(昨年度の数式処理演習IIで扱ったときには,受講者諸君はあまりピンとこなかったようだが.)

テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

x sin(1/x) のグラフ

sin1.png

上の図は,極限や連続性の例として微積分の教科書によく出てくる y = x sin(1/x) の原点の付近でのグラフである.この例は今日の微分積分Iの授業で扱う予定だ.x がゼロに近づいたときの極限値は 0 であり,x =0 における値をゼロと定めれば,x =0 で連続である.

上のグラフは Maxima で次を実行して描いた.("set size square" をつけて縦横に比率を 1:1 にしている.)
wxplot2d([x*sin(1/x)], [x,-0.1,0.1], [gnuplot_preamble, "set size square"])$

Maple だと
plot(x*sin(1/x),x=-0.05..0.05, scaling=constrained);
だが,原点の付近でグラフがちょっとおかしい.

sin3.gif

plot(x*sin(1/x),x=-0.05..0.05, scaling=constrained, numpoints=500);

のように numpoints オプションをつけてグラフを描く点の数を増やすと,グラフは改善される.Maxima でも[nticks,100] をつけて刻み目を指定することができるが,無指定(デフォルト)の 10 のままでよい結果が得られている.

原点の近くの様子を見たいとき x の範囲をどのあたりに設定すればよいかは人間が判断しなければならない.コンピューターを用いてグラフを描くときに,性質・特徴がよく現れるような範囲をうまく定めるのは意外に難しい.上の例で x の範囲を広くとると,次のようなグラフになる.これも原点から遠ざかったときの関数の挙動を示す興味深いグラフである.

sin2.png


テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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示野信一

Author:示野信一
関西学院大学理工学部数理科学科
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